なぜなくならない?SNS・ネット上の誹謗中傷についてまとめてみた

昨今、芸能人の自殺や、インフルエンサーと呼ばれる人たちが裁判を起こすといった話題でSNS・ネット上の誹謗中傷について注目が集まっています。

今回はSNS・ネット上の誹謗中傷について詳しく調べていきます。

増え続けるSNS・ネット上の誹謗中傷

SNS上での誹謗中傷への対策に関する取組の大枠について、より抜粋

2020年7月総務省総合通信基盤局

近年、ネット・SNS上での誹謗中傷が急増してきています。

こうした背景にはスマートフォンの普及により誰でもインターネットやSNSに気軽に触れられるようになったことが影響しているようです。

特に、昨今注目されているのはSNSで注目が集まりやすい芸能人・有名人への誹謗中傷です。

芸能人・有名人への誹謗中傷事件

90年代からすでにネットでの誹謗中傷というのは問題になりつつありました。ここでは過去のネット上での誹謗中傷事件について紹介します。

スマイリーキクチさん

1999年ごろ、お笑いタレントだったスマイリーキクチさんは「2ちゃんねる」(現・5ちゃんねる)などのネット掲示板に誹謗中傷を書き込まれるようになりました。

誹謗中傷の内容としては1989年に起きた「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の犯人だったとしてスマイリーキクチさんがまことしやかに語られる、というものでした。

スマイリーキクチさんが実際の犯人たちと同じ足立区出身であったこと、かつて不良少年だったことなどからネット上で噂が広まり、なんと10年以上にも渡って事実無根の誹謗中傷を受けることとなりました。

2009年には誹謗中傷を書きこんだ人たちが一斉摘発され、それ以降噂は下火になっております。

プロレスラー木村花さん

https://twitter.com/hanadayo0903/status/1263890853925289984?s=20

有名人への誹謗中傷で最近でもっとも話題に上ったのは、女子プロレス界の次世代スターと期待されていたプロレスラー木村花さんでした。

プロレスラーの木村花さんはプロレス団体「スターダム」に所属しながらもテレビ番組「テラスハウス」に出演しておりました。

しかし2020年5月23日に突然亡くなったとのニュースが流れ、報道により死因は自殺ということがわかりました。また自殺の原因も「SNS上での誹謗中傷」が原因で木村花さんが悩んでいたことが明らかになり、様々なメディアで取り上げられました。

木村花さんは「テラスハウス」に出演している際、SNS上では1日に100件以上もの木村花さんに対する誹謗中傷コメントが書き込まれていたと言われています。

木村花さんの自殺をきっかけに

また、ネット上ではSNSサービスを運営する会社の不備を指摘したり、誹謗中傷コメントを慌てて消したアカウントなども目立ちました。

また普段からネット・SNS上で誹謗中傷を受けている芸能人、有名人などからは匿名での投稿が誹謗中傷を生んでいるとした意見も相次ぎました。

さらには、高市早苗総務大臣が誹謗中傷をおこなったアカウントの情報開示をすみやかに行えるよう制度改正を検討するといった声明が出されました。

しかし、大臣の声明は「政治批判を抑えこむための措置ではないか」との批判も出るなど、さらに議論が白熱化していきました。

タレント・春名風花さん

子役時代から活躍しているタレントの「はるかぜちゃん」こと春名風花さんは、なんと9歳の頃からネット上で誹謗中傷の被害に遭っています。

その後も春名風花さんに対するネット上での誹謗中傷はエスカレートし、なんと殺害予告まで出るようになっていました。

仕事や生活にまで支障をきたし始めた春名風花さんは、法的な手段に訴えることを決断します。プロバイダーに対して誹謗中傷コメントの発信者の住所・氏名の開示を請求する「情報開示請求訴訟」を実行します。

そして発信者を特定した春名風花さんは発信者に対して刑事告訴に踏み切ります。当初、警察に告訴状を受け取ってもらえなかったものの、SNSで警察に対して批判が殺到したため、告訴状は受理され、警察の捜査がはじまりました。

その後取り調べをうけた人物から示談金を提示され、刑事訴訟を取下げ315万円というかなり高額の示談金にて示談が成立しました。

春名風花さんはお金での解決ではなく、刑事罰による処罰を望んでいたものの、実際の刑罰の軽さから示談金の金額をSNSで公開したほうが効果的と判断し、示談を受け入れたとのことです。

誹謗中傷に関する芸能人・有名人のコメント

ネットやSNS上での誹謗中傷は一般人の間でも問題となっていますが、それ以上に知名度が高い芸能人や有名人は、誹謗中傷の数と質に圧倒的なものがあります。

ここでは芸能人・有名人に対する誹謗中傷と、当人たちの意見を紹介します。

ダルビッシュ有

TwitterやYouTubeなどで積極的に自身の意見を発信しているメジャーリーガーのダルビッシュ有は、誹謗中傷に対する対策を上記のツイートのように紹介しています。

Twitter上で無数の人から誹謗中傷のコメントを受けることもあるダルビッシュ有ならではの対策と言えるでしょう。

本田圭佑

ビッグマウス発言でたびたび世間を驚かせるサッカー元日本代表の本田圭佑もまたネット上で度重なる誹謗中傷を受けている人物と言えるでしょう。

本田圭佑は自身のTwitterで「弱い人を狙うな」と発言し「(やるなら)俺んところに来い」と自分自身を標的にするようにと述べています。

こうした本田圭佑の姿勢には「かっけえ・・・」「かっこよすぎて弟子入りしたい」といったコメントが並ぶ一方、「その人が本当に強いか弱いかなんて分からない事が多い」「弱いものを狙うのが誹謗中傷だから、強い人のところにはいかない」といった否定的な意見もあります。

堀江貴文

堀江貴文はストレートな物言いなどであちこちから非難されることの多い人物ですが、誹謗中傷に関しては「大量にくると精神的にはマイナスは当然きますよね」とTwitterでコメントしています。

堀江貴文のようなアンチも多い人物でも、慣れることはなくストレスがあることを吐露しています。

はあちゅう

ネット上でかつて素顔を公開したことで「ブス」と誹謗中傷を受けた経験を持つはあちゅうですが、ネット上での誹謗中傷に関してはスルーするのではなく、犯罪行為として捉えるべきだと考えているようです。

しかしながら、はあちゅうもまた炎上商法と呼ばれ、ハゲや童貞を馬鹿にするといった言動が見受けられるため、やりすぎだとの批判も受けています。

正当な批判か?誹謗中傷か?誹謗中傷と批判の境目

ネットやSNS上ではプロレスラーの木村花さん死去のニュース後、誹謗中傷に関する話題が盛り上がりを見せています。

しかしその一方で誹謗中傷に対する過激な反応や対策もまた、様々な問題を引き起こすのではないかと懸念する声もあります。

ここでは誹謗中傷と批判について調べていきます。

誹謗中傷対策が言論弾圧に?

ネットやSNS上での誹謗中傷は人を著しく傷つけるものですが、法律などで一律に取り締まってしまうことは日本国憲法で規定されている「言論の自由」に抵触するおそれがあります。

政治家や権力者に対する「強烈な批判」と「誹謗中傷」は時として同じようにも見えます。しかし政治家に対する批判を「誹謗中傷」として取り締まることは「言論弾圧」と取られても仕方のない行為ともいえます。

誹謗中傷と批判の違いは?

誹謗中傷という言葉はよく使われますが、実は法律用語ではありません。ネットやSNS上での誹謗中傷を受けた場合、名誉毀損罪が適用される場合が多いのですが、名誉毀損罪が成立しない場合があります。

  • 情報が事実であること
  • 情報を発信することで公益があること
  • その情報が公共的に明らかにされるべきものであること

以上の3要件を満たした場合、名誉毀損罪は免責になります。

つまり法的には誹謗中傷と正当な批判との境目は、公益性を帯びているかどうか、という点にあるようです。

SNS・ネット上で誹謗中傷を受けたら

SNS・ネット上で誹謗中傷を受け、何らかの損害が発生した場合、まずは弁護士に相談することをお勧めします。誹謗中傷対策には情報開示請求や告訴状の作成など様々な法的手続きが必要となります。

また誹謗中傷を受けた場合、刑事告訴と民事訴訟の2つの選択肢があります。

  • 刑事告訴(名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪)
  • 民事訴訟(損害賠償請求)

ネットやSNS上での誹謗中傷に強い弁護士もいますので、一人で悩む前にまずは相談してみましょう。

【平柳司法書士事務所】ネット上の誹謗中傷を徹底削除!

最新情報をチェックしよう!