銀行や証券運用より高金利?和牛商法ビジネスの闇と罠

1990年代から2000年代にかけて流行したビジネスに「和牛商法」というものがあります。今回は和牛商法について詳しく見ていきましょう。

和牛商法とは

和牛商法とは和牛の飼育や繁殖などの事業に出資をつのり、配当金を出資金から払い戻したり、配当金を支払わないまま預かったお金を騙し取ったりする商法です。

1995年以降のバブル崩壊後、銀行の公定金利が1%を切った頃に流行った投資商品の一つであり、当時は和牛のブランド化が進み和牛の値上がりが期待されたため、従来の農家や組合による共同出資とは別に広がることとなりました。

正式な名称は和牛預託商法

和牛商法は正式には和牛預託商法と呼ばれており、銀行預金や株式などの運用益が低迷していた1990年代に注目されました。

1990年代には和牛預託商法の会社が17社あり、それぞれ多くの出資者を募集していおりました。しかし1997年ごろから和牛預託商法の会社のほとんどが破綻することとなりました。

和牛商法の配当はどのくらい?

和牛商法の配当金は銀行の金利が1%未満であった時代に年利5%〜8%をうたっているところもあり、魅力的な運用商品として一気に広まることとなりました。

しかしそうした高金利はそもそも出資法違反の金利であり、しかも運用実態はまったくのでたらめで、新たに集めた出資金から配当金を支払うような自転車操業状態であったことが発覚しました。

和牛商法は詐欺?

バブル崩壊ののち、株式や銀行預金の代わりの高金利な運用先として登場した和牛預託商法ですが、その実態は自転車操業状態、いわゆるポンジスキームと呼ばれるような詐欺商法だったようです。

和牛商法の具体的な事件の例を見ていきます。

ふるさと牧場の和牛商法

ふるさと共済牧場は2001年に「ふるさと牧場」と名称変更し、多くの和牛商法の会社が破綻する中、2007年まで事業を継続していました。

おもに高金利をうたったパンフレットを郵送で送りつけ、投資家を勧誘するという仕組みでしたが、集めた資金のほとんどは役員の不動産投資などに充てられており、配当金の一部を集めた資金から払うといった自転車操業であることが発覚し、2008年11月社長ら6人が詐欺容疑で逮捕されました。


安愚楽牧場の和牛商法

一時はテレビCMなども放映していた安愚楽共済牧場ですが、2011年8月に破綻、被害者数7万3356人、被害総額4207億6700万円という巨額の詐欺事件へと発展しました。

安愚楽牧場の和牛商法の被害は「金ののべ棒」で有名になった「豊田商事事件」を超えるとも言われており、現物まがい商法と呼ばれる詐欺商法の事件としては最大の被害となりました。

和牛商法は詐欺商法であり、巨額の被害を出した

和牛預託商法による被害を受け、1997年8月4日に「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」が改正され、同令第1条第1項に規定する特定商品に「家畜」と「家禽」が追加されることとなりました。

しかし今後も和牛に限らずあらゆる商品で似たような詐欺商法が行われる可能性があり、注意が必要となるでしょう。

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