応酬話法とよばれる話法は営業職の方なら一度は聴いたことがあるかとおもいます。しかし、学生や、技術職・事務職の人たちは応酬話法を知らないまま、就職・転職活動での面接を受けていることも多いかもしれません。
就職・転職活動はある意味自分を企業に売り込む「営業活動」です。ぜひこの機会に応酬話法を研究して、自分の望む企業に就職できるようにしましょう。
【応酬話法1】イエスバット法
イエスバット法は応酬話法の中で、もっとも有名な切り替えしの話法です。
人は自分の意見を否定されると多かれ少なかれ気分を害します。
「いやいや」「でも」「ですから」「だって」
皆さんの中には、こういった否定的な接続詞で会話してしまって、さらに怒りを買った経験のある方も多いかと思います。
イエスバット法では相手の意見をまず、
「そうですね」
「なるほど」
「すばらしいですね」
「まさに」
といった言葉で相手の意見に対して「YES」の意思表示をします。
そして相手の意見をまず一回受け止めてから、タイミングを見て
「ですが」
「しかし」
「たとえばですが」
といった「BUT」の接続詞の言葉で断り文句に対する反論を行うのがイエスバット法です。
会話においてイエスバット法を使った場合、相手は先に自分の話を十分聞いてもらっているので、こちらの話もある程度聞いてくれるようになっています。
これは心理学でいうところの「返報性の原理」というものです。
「返報性の原理」とは、なにかをもらったときに相手にお返ししないといけないように思う心理のことをいいます。
イエスバット法はもっとも使う応酬話法ですが、最初のうちはなかなかうまくできない人も多いので、普段の友達や家族などの会話で練習して、自然に繰り出せるようにしたいところです。
【応酬話法2】ブーメラン法
ブーメラン法を使う場面はイエスバット法の時と同様に、相手が否定的な意見や反応を示したときに使う話法です。
「んー、しかし今あまりお金がないので」
「だからこそこの商品をお勧めしています」
このように「だからこそ」という切り返しで相手の否定的な意見や反応を逆手にとって、相手に「おや?」と思わせます。
このように答えることにより相手により深く商品への興味を持たせるのが狙いですが、就活や転職の面接で使うのであれば圧迫面接のようにあえて面接官が否定的な態度を見せてきたときに「だからこそこの特技が生きると思っています」というふうに切り返すことで面接官の心証を変えることができるかもしれません。
【応酬話法3】断り先取り法
この応酬話法は断られてからの切り替えしというよりも「先制して相手の断り文句をつぶす」というやり方になります。
たとえば相手が予算面で問題があって商品やサービスを購入できない、と断ってきそうな場合、
「予算面などでご不安なところがあるかもしれませんが、ある程度割引することも可能ですし、将来的な効果を考えれば今契約していただくのがベストかと思います」
などと、先に相手のいいそうな断り文句を絡めながら一方的に話しきってしまう応酬話法です。
相手は先に断り文句をいわれてしまうと別の理由をつけて断らなくてはならないと考えて断りを探し、その間思わずだまってしまいます。
そこで一気にこちらの意見を押し込んでしまうと「まいった」となるケースがあります。
ただし、この応酬話法は潰す断り文句を間違えたり、頻繁につかっていると、相手が怒り出してしまうこともあるので、十分な注意が必要です。
【応酬話法4】質問法
相手の断りに対して、反対意見をぶつけるのではなく、質問の形で切り返していくという応酬話法になります
会話の序盤では
「それはたとえばこういうことですかね?」
といったような「YES」「NO」で簡単に答えられるような質問を出して、徐々に
「どう思いますか?」
「何がいいと思いますか?」
といった即答がむずかしいような5W1H型の質問を繰り出します。
この応酬話法のいいところはいったん時間稼ぎができるところです。
相手の断り文句に対するうまい切り替えしが見つからないときに、この応酬話法で時間を稼いで、その間に体勢を立て直すことができます。
【応酬話法5】例話法
例話法は「たとえば〜」と切り出してから他の事例や一般的な例を持ち出し、そのような事例があてはまるかどうかを尋ねたりすることでYESの返事を取り付けるという話法です。
就活や転職の面接では仕事内容や自分のスキルなどを説明するときに多用することが多く、是非身につけておきたい話法です。
【応酬話法6】否定法
1,2,3の応酬話法とは対照的に否定法ではズバッと直球で反論します。
この否定法の応酬話法を乱発しすぎると喧嘩になりますので、あまり使いすぎないように気をつけてください。基本の会話はイエスバット法で話を進めます。
相手が優柔不断だったり、
「○○ってさぁ、あんまりよくないんじゃないの?」
といったようにややふざけた感じで絡んでくるときは
「そんなことはありません!」
とズバッと否定法で答えるともっとも効果的です。
相手も急にズバッと言い返されドキッとしてしまい、次の否定文句が出しにくい雰囲気になります。
どんな職種でも身につけておきたい応酬話法
営業では必須、知ってて当然の応酬話法ですが、会社に勤めたことのない学生や事務職、技術職の方は応酬話法に接する機会があまりないため、面接時に変に受け答えしてしまって悪印象をもたらすことがあります。
また、人事面接では、営業か営業経験者、あるいは経営者が人事担当官を兼ねている場合もあり、この応酬話法を使って話を進めてくる場合があります。
向こうの真意を読み取る上でも、応酬話法を身につけておきたいものです。